正月やお祭りで披露される獅子舞に、感謝の気持ちとして渡す「花代(はなだい)」。この記事では、封筒(祝儀袋/金封)の選び方・表書き・裏書き・中袋の書き方から、金額相場・渡し方のマナー・地域差まで、迷わず準備できるように分かりやすく解説します。最後にテンプレ(表書き文例/送付状)やチェックリストも用意しました。
獅子舞と花代の意味
獅子舞は邪気払い・無病息災・商売繁盛を願う伝統芸能。家々や商店を巡り、頭を噛んでもらうと厄落としになると言われます。
「花代」はご祝儀・奉納の性質をもつ心づけで、保存会の活動資金(衣装・獅子頭・楽器の維持)にも役立ち、地域文化の継承を支える大切な寄付です。
地域による獅子舞の違い(かんたん概観)
- 関東:一人立ち獅子など軽快な舞が多い
- 関西:二人立ち・連獅子など重厚な舞も
- 東北:太鼓と合わせ勇壮なスタイル
- 沖縄:シーサー舞として独自発展
→ 表書きや封筒の習慣も地域差が出やすいので、迷ったら保存会や町内会に確認が安全です。
花代の金額相場【地域・立場別の目安】
※あくまで目安。祭りの規模・地域性・関係性で変動します。
- 個人:3,000〜5,000円
- 家族:5,000〜10,000円
- 企業・商店・団体:10,000円以上(スポンサー的協賛なら更に上乗せも)
相場を決めるときのヒント
- 都市部/大規模行事:5,000〜10,000円以上のケースが増えやすい
- 町内会レベル:3,000円前後でも十分丁寧
- 神社主催で格式高め:1万円以上+祝儀袋が安心
- 数字の縁起:4・9を避ける文化も一部に。気になる場合は3,000・5,000・7,000・10,000円など切りの良い金額に
金額決めミニ・フローチャート
- 行事の規模は?(町内会/神社・大規模)
- 自分の立場は?(個人/家族/商店・企業)
- 地域の慣習は?(昨年の相場や近所の例)
→ そのうえで3,000〜10,000円の範囲で調整が無難。
封筒の種類と選び方
祝儀袋(のし・水引あり)
- 紅白蝶結びが基本(何度あっても良い慶事向け)
- 1万円以上/格式ある場は祝儀袋が安心
- デザインはシンプルで上品を選ぶと失敗しにくい
金封(白無地・簡易封筒)
- 3,000円程度など少額時に使いやすい
- 清潔感のある無地を選び、表書きは丁寧に
水引の選び分け(重要)
- 蝶結び:おすすめ(何度でもOKの慶事)
- 結び切り:婚礼・弔事や一度きりの慶事で使う結び。獅子舞では避けるのが一般的
封筒サイズの目安
- 祝儀袋:一般的な市販品でOK
- 金封:長形4号〜3号相当が入れやすい(ピン札でも折らずに入るサイズがベター)
封筒の書き方と記入例(表・裏・中袋)
表書き(中央上)
- 基本:「花代」
- 場により:「奉納」「御祝儀」「御寄進」 など
- 筆ペン/毛筆で楷書が基本(濃い黒・ていねいに)
表書きテンプレ
花代
(下段中央に)山田 太郎
奉納
(下段中央に)株式会社〇〇
(右下等に小さく)代表取締役 山田 太郎
花代
(下段中央に)中野町内会 有志一同
名前の書き方
- 個人:フルネーム
- 家族:「〇〇家」や全員名、または代表者+「一家」
- 団体:「株式会社〇〇」「〇〇商店街」「〇〇一同」など
裏面(または中袋)
- 金額は**漢数字(旧字体)**で
- 住所・氏名を書くと照合がスムーズ
旧字体の漢数字 早見表
数 | 旧字体 |
---|---|
1 | 壱 |
2 | 弐 |
3 | 参 |
5 | 伍 |
10 | 拾 |
100 | 佰 |
1,000 | 仟(阡) |
10,000 | 萬 |
金額の書き方例
- 3,000円 → 金参仟円也
- 5,000円 → 金伍仟円也
- 10,000円 → 金壱萬円也
- 30,000円 → 金参萬円也
末尾の「也」は省略可。統一感を意識すればOK。
中袋の使い方
- 1万円以上は中袋を使うのがおすすめ
- 表面に金額、裏面に住所氏名
- お札は肖像が上・表向き、向きを揃えて入れる
- 封はしないのが一般的(地域で異なるため要確認)
渡し方とマナー
直接渡すとき
- 袱紗(ふくさ)に包む → 受付で取り出し、袱紗をたたんでから両手で差し出す
- 一言「本日の奉納分です。よろしくお願いいたします」など丁寧に
郵送するとき
- 1週間前到着を目安に
- 祝儀袋/金封は外封筒に入れる(折れ防止・雨対策)
- 簡易書留・レターパック等の追跡可能手段が安心
- 送付状を同封(テンプレは後述)
大規模行事・神社行事
- 受付方法・表書き指定があることも
- 事前確認で齟齬を回避(公式案内・保存会に電話でOK)
連名・団体名の書き方
連名(3名まで)
- 右から目上順/五十音順で縦書き
- 4名以上は「〇〇一同」+別紙に名簿がスマート
団体・会社
- 中央に団体名、下段右寄せ等に役職+代表者名
- 例:「株式会社〇〇」「代表取締役 山田太郎」
地域差に配慮した表書きバリエーション
- 関東:花代/奉納 が多い
- 関西:奉納/御祝儀 の表示例も
- 神社主催:奉納/御寄進 の指定がある場合あり
→ 「花代」が最も無難。指定があればそれに合わせる
よくあるNG&トラブル対策
NG例
- 弔事向けの結び切りの祝儀袋を使う
- 表書きをボールペンで雑に書く
- 額面の数字がアラビア数字のみ(漢数字推奨)
- お札の向き・向きを揃えない/旧札・シワが目立つ
対策
- 迷ったら「紅白蝶結び+花代」
- 筆ペンが苦手でも濃い黒インクで丁寧に
- 新札を用意(銀行で両替可)
- 地域の保存会に一言確認が最短ルート
FAQ(拡張版)
Q. 表書きを横書きにしても良い?
A. 縦書きが正式。ただし封筒のレイアウト上やむを得ない場合は横書きでも可。
Q. 金額は奇数が良い?
A. 慶事では奇数を好む風習もありますが、必須ではありません。地域慣習に従うのが最優先。
Q. 新札は絶対?
A. 推奨。準備の誠意が伝わります。地域によっては旧札を用いる例もあるため、気になる場合は確認を。
Q. 受付が混雑していて渡せない…
A. 後刻の受付/保存会事務所/郵送(簡易書留)など代替ルートで丁寧に対応を。
Q. 「御祝」と書くのは?
A. 獅子舞なら花代/奉納が適切。御祝も完全に誤りではないが、地域で浮かない表記を優先。
送付状テンプレ(コピペ可)
令和◯年◯月◯日
〇〇保存会 御中
拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素より地域の伝統継承にご尽力賜り、深く敬意を表します。
さて、下記の通り花代を同封いたしましたのでご査収ください。
【奉納者】山田 太郎(中野区◯◯)
【内 容】花代 金壱萬円也
今後とも地域の発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
〒◯◯◯-◯◯◯◯
東京都中野区◯◯◯◯
山田 太郎
電話:090-xxxx-xxxx
早見表(ケース別まとめ)
ケース | 金額目安 | 封筒 | 表書き例 | ひと言ポイント |
個人 | 3,000〜5,000円 | 金封 | 花代 | 無理のない範囲でOK |
家族 | 5,000〜10,000円 | 祝儀袋(蝶結び) | 花代/御祝儀 | 名前は「〇〇家」でも可 |
企業・商店 | 10,000円以上 | 祝儀袋(蝶結び) | 奉納/御寄進 | 代表者名・肩書きを添える |
神社主催・格式高め | 10,000円〜 | 祝儀袋(蝶結び) | 奉納 | 事前に指定表記の有無を確認 |
郵送 | 3,000円〜 | 祝儀袋 or 金封+外封筒 | 花代/奉納 | 簡易書留+送付状が安心 |
連名 | 相場に応じ調整 | 祝儀袋 | 花代(下段に連名/一同) | 4名以上は「一同」+名簿 |
まとめ|花代は「地域を支える心」
- 金額は3,000〜10,000円が目安(地域・規模・立場で調整)
- 封筒は祝儀袋(蝶結び)または金封。表書きは**「花代」**が最も無難
- 漢数字で金額・住所氏名を記入、袱紗で丁寧に
- 迷ったら保存会や町内会に確認が最短・最善
※本記事は一般的なマナー解説です。地域差がありますので、最終的には現地の案内に従って調整してください。