「世間体(せけんてい)」は、周りの人からどう見られているか、その見え方を気にする気持ちを表す言葉です。
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例)「夜遅くまで外で騒ぐのは世間体が悪いからやめよう」
似た言葉の「体裁」「面目」と比べると、より広い“社会の目”全体を意識している点が特徴。 -
体裁:見た目・形が整っているか
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面目:名誉・評価(メンツ)
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世間体:社会からの印象や他人の目
ことばの成り立ちミニ知識
「世間」+「体(てい)」の複合語。「体(てい)」には外から見えるありさまという意味があります。ここから“見た目・見え方=世間体”というニュアンスに。
世間体の正しい読み方|「せけんたい」?「せけんてい」?
正解は せけんてい。
誤って「せけんたい」と読まれがちですが、フォーマルな場では避けたい読み方です。
よくある誤読の理由
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「体」を「たい」と読む語が多い(例:体験、団体)
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会話で流れると「てい」が「たい」に聞こえることがある
覚え方のコツ
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“世間の体(てい)裁”=見え方 とセットで記憶
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「無理して“見栄(みえ)を張る”→“てい(体)を繕う”」と連想
世間体を英語で表すと?
ぴったり同じ意味の単語はありませんが、文脈に合わせて以下を使い分けます。
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public image:公のイメージ
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reputation:評判・評価
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appearance:外からの見え方
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what others think / social expectations:他人がどう思うか/社会的な期待
例文
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He cares a lot about his public image.
彼は世間体をとても気にする。 -
She made that choice because of social expectations.
彼女は世間体を気にしてその選択をした。
コツ:直訳を狙わず、「どんな“見られ方”を気にしているのか」を英語で説明するイメージです。
世間体を使った例文集(日常〜ビジネス)
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「世間体を気にしすぎると、疲れてしまうよ。」
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「世間体のためだけの結婚は、後悔するかもしれない。」
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「転職は世間体が悪いと思っていたけれど、今は実力主義で見方も変わってきた。」
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「世間体より健康。今は休むことを優先しよう。」
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「会社の世間体を守るための発表になっていないか、もう一度見直そう。」
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「地域の世間体を考慮して、開催時間を早めます。」
よくある誤用・注意点
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X:世間体が“いい・悪い”の二択でしか語らない
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→ 背景にある「誰の目を気にしているのか」「何のための配慮か」を言葉にすると誤解が減ります。
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X:相手に「あなたは世間体ばかり」と断定
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→ 「周りの目も気になるよね」など共感を添えて柔らかく。
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世間体と似た言葉の違い(使い分け早見ガイド)
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体裁:形・格好。外形的に整えるニュアンス
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例:「体裁を整える」「体裁がつかない」
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見栄:よく見せたい気持ち(虚栄)
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例:「見栄を張る」
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メンツ(面子)/面目:名誉・威信を保つ意識
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例:「メンツを保つ」「面目丸つぶれ」
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外聞:世間にどう聞こえるか
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例:「外聞が悪い」
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建前と本音:公の立場としての言い方と心のうち
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例:「建前では賛成」
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「世間体」は社会全体の視線を強く意識するのがポイント。
日本文化と世間体|なぜ“気にする”の?
日本では「和(調和)を大切にする文化」が根付いており、周囲との関係性や空気を読むことが重視されます。
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地域・家族・職場など小さな“世間”が重層的に存在
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その中で「波風を立てない」ことが美徳とされやすい
一方で、個人主義が強い文化では「自分らしさ」や自律を優先しがち。価値観の違いを知っておくと、他者との認識ギャップに優しくなれます。
世間体を気にしすぎることのメリット・デメリット
メリット
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トラブル予防・予見性が上がる
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公私の切り分けがしやすい(“公の場”での基準になる)
デメリット
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自己犠牲になりやすい/ストレスの温床に
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チャンスを逃す(挑戦より無難を選びがち)
バランスの取り方
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「誰の目を、何のために意識しているのか」を言語化
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“ゼロか100か”ではなく、シーン別に基準を持つ
現代社会と世間体|SNS時代の向き合い方
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SNSは“世間”の範囲とスピードを爆発的に広げる装置
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「いいね数=評価」と思い込むと消耗しやすい
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若い世代では「自分らしさ>世間体」志向も拡大
セルフチェック(3つだけ)
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投稿前に「目的は何?」(記録/共有/承認欲求?)
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反応が少ない時の気分の上下が大きすぎない?
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オフラインの人間関係をちゃんと大切にできてる?
シーン別の言い換えフレーズ(やわらか表現)
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直球:「世間体が悪い」
→ やわらかく:「周りの受け止め方を考えると」「印象の観点では」 -
直球:「世間体のため」
→ やわらかく:「周囲への配慮として」「外部からの見え方を踏まえると」
ビジネスでの文例テンプレ
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「外部ステークホルダーからの見え方を踏まえ、発表内容を再調整します。」
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「地域の皆さまの受け止めを考慮し、開始時刻を繰り上げます。」
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「社会的な期待との整合性を確保するため、行動指針を明文化します。」
“世間体”という単語を避けつつ、ニュアンスだけ正しく伝えるのがビジネスでは上手。
例文をもう少し(会話で使える)
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「世間体も大事だけど、私たちの本音は何だろう?」
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「今回は周囲への配慮を優先、次は挑戦してみよう。」
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「印象面を整えてから、あらためて発表しよう。」
ことわざ・慣用句・関連表現
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人の噂も七十五日:噂は長続きしない
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外聞をはばかる:世間の評判を気にする
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世評:世間の評判
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面目(めんぼく)を保つ:名誉を守る
よくある質問(Q&A)
Q. 読み方は?
A. 正式には せけんてい。誤読の「せけんたい」は避けた方が無難です。
Q. 英語で一語で言えますか?
A. 一語対応は難しく、public image / reputation などを文脈で使い分けます。
Q. 使うと失礼?
A. 文脈次第。相手を責める口調で使うと刺さります。ビジネスでは言い換えが安全。
ちょこっと自己メンテ|世間体に振り回されないメモ
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「私は何を大切にしたい?」と自分軸を先に決める
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判断に迷ったら「誰の目を、何のために?」の2問で整理
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“ゼロか100か”ではなく、シーン別に基準を用意
まとめ
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世間体=周囲(社会)からの見え方を気にする気持ち
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読み方は せけんてい(“たい”は誤読に注意)
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英語は public image / reputation などを使い分け
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似た言葉との違いを押さえ、やわらかい言い換えで印象UP
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気にしすぎると消耗。自分軸とシーン別基準でバランス良く