美術や音楽の世界でよく耳にする「鑑賞」、それとよく似た言葉に「観賞」がありますね。
どちらも似ているようでいて、実は使い分けるべき違いがあるのです。
この記事では、「鑑賞」と「観賞」の意味の違いとその使い方についてご紹介します。
また具体的な美術作品の鑑賞の仕方も分かり易く解説します。
「鑑賞」とは何か
「鑑賞」という言葉には、「鑑識」や「鑑別」に使われる「鑑」という字が含まれています。
これは、ただ見るだけではなく、深く考えて対象の良し悪しを見極めるという意味が込められています。
つまり、芸術作品をただ目で見るだけでなく、その背後にあるストーリーやメッセージを理解し、その価値を判断する際に「鑑賞」という言葉を使います。
「鑑賞」と「観賞」の違いは?
「鑑賞」と「観賞」の間には、対象や体験の質において違いがあります。
「鑑賞」は芸術作品を対象に、その深い意味や価値を考えることに重きを置いています。
一方で、「観賞」は「観光」や「観測」などに使われる「観」という字が示すように、目で見て直接楽しむことに焦点を当てています。
自然の景色や動物など、自然界の美しさを素直に楽しむことが主な目的です。
結論としては、人の手によって生み出された芸術作品を深く味わい、評価する際には「鑑賞」を、自然の美しさを直感的に楽しむ際には「観賞」を用いると覚えておくと良いでしょう。
しかし、これらの用語の使い方は、見る人の感じ方やその時の状況によって変わることもありますので、その点も考慮に入れましょう。
「鑑賞」と「観賞」の正しい使い方
ここでは、様々なシーンでの「鑑賞」と「観賞」の違いと、それぞれの言葉がふさわしい状況について説明します。
絵や彫刻を楽しむ時
絵画や彫刻のような美術作品は、「鑑賞」するものです。
これは、見るだけではなく、その作品が持つ深い意義や作者のメッセージを理解しようとする行為を指します。
音楽イベントを体験する時
ライブやコンサートのような音楽イベントでは、「鑑賞」が適しています。
音楽を聞きながら、その背後にあるストーリーや感情を感じ取ることが、この表現の背景にあります。
映画を見る時
映画を見る際にも「鑑賞」という言葉を使います。
映画では、ただの物語を楽しむだけでなく、登場人物の心情や製作者の意図に思いを馳せることが求められるからです。
演劇やミュージカルを見る時
劇場での演劇やミュージカルの観賞も、「鑑賞」に分類されます。
これらの芸術形式は、ただ見るだけではなく、作品の意味や美しさを深く味わうものです。
ただし、笑いを目的とした作品はその瞬間の楽しさを「観賞」することもあります。
自然を眺める時
自然を眺める際は、「観賞」が用いられます。
自然の美しさは、手を加えずともそのままで楽しめるためです。
しかし、人の手が加わっている庭園や盆栽などは、「鑑賞」が適する場合もあります。
花火を見る時
花火を見る場合、一般的には「観賞」を使用します。
花火は見た目の美しさを直感的に楽しむものですが、芸術的な観点から見ることもあり、その際は「鑑賞」を使うこともあります。
テレビを見る時
テレビ番組は普通、「観賞」するものです。
大抵の場合、娯楽を目的としていますが、放送される内容によっては、たとえば特別な映画や音楽番組など、芸術性を感じさせるものは「鑑賞」が適しています。
美術作品を深く味わうための具体的な方法
この章では、美術作品を楽しむためにできる、いくつかの具体的なアイデアをご紹介します。
作品とその作者のストーリーを探る
美術作品を見る際、まずはその背後にある話や作者の人生を調べてみましょう。
美術作品には、作者の思いやその時代の背景など、深い意味が込められていることが多いです。
作者と作品の背景について学ぶことで、作品が持つメッセージやその表現の理由を想像することができ、鑑賞の楽しみがぐっと深まります。
自分の感じるままに作品を感じる
知識がないからといって美術を楽しめないわけではありません。
自分自身の直感や感情を大切にして、作品に対して自由に感じてみてください。
作品の色や形、描かれているものが何であれ、そこから自分が感じ取ることができる感覚に注目してみましょう。
自分がどう感じ、何を考えるかを意識することで、作品とのつながりが深まります。
他人の意見を聞いてみる
人それぞれ美術作品に対する感じ方は異なります。
自分とは異なる視点を持つ人の意見を聞くことで、新たな発見があるかもしれません。
他人の感想を聞くことは、作品に対する自分の理解をさらに深めるだけでなく、物事を多角的に見る視野を広げる助けにもなります。
このように、異なる意見を参考にすることは、美術鑑賞のみならず、さまざまなシーンで役立つスキルです。
まとめ
よく似ているけれど、実は違う「鑑賞」と「観賞」。
これらの言葉はどちらも間違いやすいですが、意味や使うシーンにははっきりとした違いがあります。
要点をまとめると、大事なのは次の2点です。
・対象が自然の景色なのか、人が作った芸術品なのか
・目で見るだけではなく、耳で聞いたり、心で感じたり、頭で考えたりする体験が伴うかどうか
ただ、人によって感じ方はそれぞれ違うし、状況によっても変わることがあります。
だから、基本を知った上で、場面に合わせて柔軟に使いわけることがポイントです。
今回の記事が快適な生活を送るお手伝いになれたら幸いです。
最後までお読み頂き有難うございました。